ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

『土の記』

日本人はなぜ歴史から学ばない?

これについて磯田道史朝日新聞で次のように述べている

なぜ日本人は歴史から学ばないのか。「考えたくないことは、起きないことにする」という習慣があるからです。「もし××だったら」という反実仮想の習慣を日本人は戦国時代以来、退化させてきました。前年と同じことが予定調和的に起きる緻密な水田耕作を続け、親の言うことを聞く人のDNAを受け継いできたからだと思います。

だが、この土にしがみついて来た日本が根底から崩れ始めている、それを作品として提起しているのが高村薫の『土の記』だ、里山などと美しく表現されてもてはやされている地域も共同体としては崩壊に瀕していることをじんわりとぞっとするほどの深みから見せてくれている。大和以来の田んぼ作りに対して科学主義的なアプローチをする農民が一族の行末を一人になっても見守り続けようとするのだが、最後はとんでもない水害の被災者になってしまう。なにもかもが無くなってしまうのだが、まるで何事もなかったかのように日本の日常は続いていく。

コロナ禍も過ぎてしまえばまた忘れ去られるのだろうか?