ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

夏のフランス語句会(7月28日開催)

今回はコロナ禍のあけるのを待ちかねたかのように、パリに住むお孫さんたちに会いに飛行機に飛び乗った花丸さんの写真句の特集を組んでみました。

一番特急「北海」の思い出

特急「北海」が載った時刻表 45年前のことになるが、身重の妻を残して、単身東北本線を青森まで。午前一時ころだったろうか、青函連絡船に乗り込み函館へ渡った。当時はまだ山線を走って小樽-札幌ー旭川とつなぐ栄光の一番特急「北海」が走っていて、それに…

尾籠な話 その5 トイレのトンカチ

尾籠な話 その5 トイレのトンカチ 1960年代後半、ベ平連の小田実と中間派小説家と呼ばれた五木寛之が行動派の作家として若者をリードしていたが、やはり「見る前に跳べ」のキャッチフレーズが示すとおり、バックパッカーの先達のような二人はそれぞれアメリ…

尾籠な話その4− パリの「水!」

私が尾籠な話にこだわるのは嗅覚と記憶の関係があまり重要視されていないことに危機を感じるからである。とりわけ日本では「無臭」が幅を効かせてアメニティーの基準であるかのように振る舞っている。だが無臭は危険である、経験のない匂いに遭遇したときに…

尾籠な話その3ートルコ式トイレ

もう四十年以上も前のパリでの話。大先生の一人から頼まれパリ在住の老哲学者のご機嫌伺いに行ったときのこと。お住まいが当時でもかなり治安が悪化していた18区で、電話で「昼間でも決して裏路地に入るな、まっすぐアパルトマンまで来なさい」との忠告を…

尾籠な話ーその2

これも大昔の話。家から小学校までがほぼ見通せた。それほど広島の南観音新町には何もなかった。実は干拓地の南端には三菱重工の巨大工場群があってその北側には社宅が拡がっていた。その社宅街と小学校の間に畑が拡がっていたのだ。学校はご承知のとおりベ…

尾籠な話ーその1

先日地下鉄の階段を登っていると目の前のジーンズの尻ポケットからパンパンの財布がはみ出して落ちそうになっていた。ふと思い出したのがとある岬を歩いていたときのことだ。財布がトイレに落ちたらどうするんだろうかと想像したのが原因のようだ。 今は水洗…

新しい戦前

タモリが現在の状況を「新しい戦前の始まり」と表現したという。ウクライナへのプーチンの侵略戦争を受けて世界は再び大きな分断に入ったが、なんとわれらが首相は新たな専制主義陣営の強権的あり方に対して国民に「国を守る気概を持て!」と語り「防衛費を…

戦車ルクレール

フランス陸軍の最上位戦車といえばルクレールだ。ドイツとアメリカが世界最強の戦車をウクライナに提供することが話題になっているが、フランスではこのルクレールの供出を政府がためらっているのではないかというニュースが流れている。ここでは少しずれて…

春のフランス語句会

今頃?と言われてもなんとも言い訳しがたいことだが、プーチンの戦争が始まったからだ、と言えば許されるような気もする。まさにその戦争に影響された句もあれば、「核兵器の使用も当然の権利である。これは脅しではない」という発言に触発された句も出てき…

関釜連絡船

朝鮮半島を日本が植民地支配していたとき、半島との一番のパイプは関釜連絡船であった。いまでは博多と釜山がメインであるが、関門連絡船の時代では、下関が玄関口だったのだ。五木寛之は初期のエッセイでこう記している。 生まれたのは福岡県である。生後、…

プーチンの戦争

プーチンのウクライナ侵攻で寝覚めの良くない日が続いている。朝早く目が覚めたので、講談社版の五木寛之エッセイ全集第三巻を開いた。半世紀前ソ連邦が未来の希望の地位から転げ落ち始めるころ五木はこう言っている。 昨年、沖縄に旅行した時、沖縄本島の人…

畏友今西一、逝っていた。

畏友今西一が逝った。去年私の姉の亡くなったことを伝えたときにメールで「70過ぎですぐに死ぬのは可哀そうやな」と慰めてくれてから一年も経たずに逝ってしまった。急性心筋梗塞で自分から病院に電話して入院したがそのまま死亡したということだ。1月6日の…

マウリポリの惨状

マウリポリに対するプーチンの常軌を逸した破壊命令はなぜなのか。当地を担当するアゾフ大隊こそはクリミア半島併合時、東部ドンバスとの回廊の要衝として奪取を画策したプーチンの野望を阻止した屈強の兵団だったようだ。ひょっとしてプーチンは前回の屈辱…

戦争の子供たち

ウクライナにロシア軍が侵攻してからひと月が経った。悲惨としかいいようのない市民たちの様子を見るにつけても、アズナブールが歌い、私たちも口ずさんだ『戦争の子供たち』が口の端にのぼる。 www.youtube.com LES ENFANTS DE LA GUERRE 戦争の子供たち Le…

22春のフランス語句会

コロナワクチン三回目の接種を終えた老人たちが 北国の春を待ち焦がれながら遊んでみました

『暁の宇品』大佛次郎賞受賞!

堀川惠子の『暁の宇品』が大佛次郎賞に決まった。「暁の」でピンとくる人はそう多くないはずだ。私がこの言葉を耳にしたのは札幌である。ベーコン研究で著名だった花田圭介先生とのサロン・デ・フローラ(無名哲学者俱楽部)でのよもやま話であったと記憶す…

慧眼!!

全巻読破を目指していて、やや息切れしてしまった講談社版五木寛之小説全集だが、ようやくゴールが見えてきた。後半は、断筆を経て、ある意味同じ系列の再開、再構築といった感を抱くのだが、陰影の深さが増して小説世界の広がりが増しているとともに、たお…

夏・秋のフランス語句会

俳句というと季語を立てなければなりません。俳諧となると「諧謔」の語にも見られるように自由度が大きくなります。かつて土屋文明がパリを訪れハイカイスト達と交流を持った際、通訳にあたった松尾邦之助との間で季語をめぐって論争が起きました。邦之助は…

偶然の一致とは思えない、、、

外出自粛でテレビを見る時間が増えているが、8月30日のNHKBSプレミアムの番組で面白い符合(もちろん個人的にだが)を見つけたので、書きとめておきたい。午後1時からのBS映画劇場の『クリムゾン・タイド』と午後5時半からの『映像の世紀プレミアム選4―英雄…

オランジーナの起源

オランジーナの起源は? フランスの国民的飲料だった orangina サントリー傘下に入り Orangina France そしてSuntory Beverage & Food France となったようだ。あまり起源については気にしたことがなかったが、佐藤賢一の『最終飛行』を読んでいて次の一節に…

昔の北海道のイチゴ売り/深沢七郎より

深沢七郎が『いのちのともしび』(昭和38年)でこう書いている。 六月の末頃、札幌の街はいちごの出盛りである。旅路の果、私は札幌で、このいちごを見て<アレッ!>と目を見はった。東京では、いちごは小箱に並べてつめて売っているのだが、ここでは八百屋…

冬のネット句会から

冬のネット句会から 一人一句 旅行運 凶と出るなり 初神籤 Dans mon premier oracle écrit Le voyage était marqué Très mauvais. <S> 凍れ夜に 米研ぐ媼 背の丸き Une nuit glaciale Une vieille femme lave du riz Le dos arrondi. <T> しばれるや オノマトペ響</t></s>…

半藤一利逝く

文春の時代を画した編集長にして『日本のいちばん長い日』、『昭和史』の著者半藤一利が鬼籍に入った。保坂正康と二人で昭和の暗部を暴こうとしつづけた良心の一人が消えた。それにしても僕らが大学生活を始めたころには「保守半藤(反動)」とあだ名されて…

「#脱コル」について

NHKニュースで取り上げられていて驚いたのだが、「脱コルセット」が今SNS上で大きな盛り上がりを見せているという。これは私が20年来某女子大の講義で必ず取り上げてきたアイテムだ。だが話を聞いていてもポール・ポワレもココ・シャネルも出てこない(私の…

映画『火口のふたり』と司馬遼太郎

外出自粛で、映画でもみようかと思い、WOWOWの番組案内を見て、柄本佑と瀧内公美の共演の『火口のふたり』(荒井晴彦監督・脚本)を見た。「金鳥」のコマーシャルで色気ありと気になっていた瀧内公美と柄本佑の絡み具合を見たいと思ったからだ。柄本明…

なぜだか朝鮮半島、、、五木寛之『深夜美術館』

藤女子大の図書館で久ぶりに手にった講談社版五木寛之小説全集もようやく28巻まできた。やはり読むペースは年相応とみえる。で、第28巻収録作品の初出情報を見ていて最後の『深夜美術館』だけが昭和50年の小説現代7~9月号で、それ以前は昭和47年の…

「バベットの晩餐会」とアメリカ大統領選

アメリカ大統領選挙を見ていて、ふとガブリル・アクセルの映画「バベットの晩餐会」を思い出した。フランス料理というかレストランが生まれてきた背景にフランス革命があるとか、ジェンダー的偏向としての「女料理人」とかはさておいて、映画の舞台に思い至…

「パチンコ」グローバル三幅対

韓国系女性による、「パチンコ」トリプティック(三幅対)完成 まずはアメリカで100万部突破したMin Jin Leeの Pachinko (2017)だ。下記のサンフランシスコ・クロニクルの跋文がズバリだろう。 ‟Beautiful…Lee’s sweeping four-generation saga of a Kore…

「討匪行」考(続)

森繁久弥とお登紀さん 加藤登紀子のデビューはシャンソンであったことには間違いはない。だが、日本のシャンソン愛好家たちはある意味自意識が高くなる傾向があった。赤塚不二夫の『おそ松くん』で「おフランスざーます」のセリフを吐くイヤミのキャラクター…