ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

「パチンコ」グローバル三幅対

韓国系女性による、「パチンコ」トリプティック(三幅対)完成

まずはアメリカで100万部突破したMin Jin Leeの Pachinko (2017)だ。下記のサンフランシスコ・クロニクルの跋文がズバリだろう。

f:id:septentrional:20200911091620j:plainCover image for 

‟Beautiful…Lee’s sweeping four-generation saga of a Korean family is an extraordinary epic.”
– San Francisco Chronicle

Kindle でダウンロードして読み始めたら止まらなくなりそうだ(実際は老いと英語のせいでずっこけっぱなし)。

次は、北大経済学部の韓 載香(はん じゃひぇん)の2018年サントリー学芸賞受賞作品『パチンコ産業史ー周縁経済から巨大市場へ』(名古屋大学出版会、2018年)だ。

 その昔、韓国にパチンコを導入しようとしたが、あまりに熱中を誘うので危険と判断されて禁止されたことを思いだした。日本では巨大産業となり、コロナ禍で「何故営業自粛しないのか!」との批判も受けたが、潰れそうな気配はもはやない。一部では「日本人の資産を奪って半島に送っている」との指摘もあるが、日本だけで繁栄するギャンブル性強い娯楽産業だ。在日コリアンの女性経済学者が、正面きって取り上げ、今では受賞すれば大学がHPのニュースに取り上げるというサントリー学芸賞を取ったのだから、日本の学問的成熟として評価するべきなのだろう。麻雀は絶滅が危惧されるが、それを尻目にパチンコがなぜかくも日本で隆盛をきわめているのか、別の観点からの分析も待たれる。

最後は韓国系スイス人 Elisa Shua Dusapin の Les billes du Pachinko 、『パチンコ(の)玉』(私としては「の」は要らない)だ。Folio でも発売になっているのですぐに手に入ると思う。だだし、 kindle 版は EU 以外ではダウンロードできないので注意。

 

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Swissinfo の記事から引用しておこう。

8月に出版された2作目の「Les billes du Pachinko(仮題:パチンコの玉)」(ZOE出版)は初作に見劣りしない素晴らしい出来だ。無駄な飾りのないシンプルな文体、人間関係や根底に流れる西洋と東洋の文化の違いからくるすれ違いなどの細こまやかな観察がそこにある。1作目は韓国だったが、2作目の舞台は朝鮮戦争で1950年代に多くの韓国人が避難してきた日本だ。

 ミエコとハイジ

在日コリアンはその国籍を理由に労働市場から締め出されていた。彼らは娯楽を考え出した。垂直の板。玉。機械仕掛けのレバー」。デュサパンさんの小説の一節だ。この作品も出会いをモチーフにしているが、今度は幼い日本人の女の子ミエコと語り手クレールの物語だ。スイス人の学生クレールは、東京に住む韓国人の祖父母宅を夏の間だけ訪れている。

21世紀に入って、ヨーロッパー日本ーアメリカと、まさにグローバルな展開を見せる女性コレアンたちの活躍ぶりに注目していこう。