ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

和田徹三、吉田一穂、吉田秀和

小樽商科大学というか小樽高商出身者の文学者というと小林多喜二伊藤整の両巨頭ということになるが、大学の研究棟(一号館)近く、戦没者慰霊塔の側に、和田徹三の詩碑がある。

彼は西脇順三郎に認められ詩壇に登場し、形而上詩を標榜した詩人である。北海道から出ることなく、晩年は親鸞への傾斜が深まり、1960年代は札幌大谷大学、短大の学科新設や拡充に活躍している。さて北海道出身の詩人というと、和田の同時代で言えば、吉田一穂がまっさきにあげられるだろう。ちなみに手もとにある一穂を顕彰するため彼の故郷古平町が出版した『北斗の印 ― 吉田一穂』を開くと、あった、和田徹三の寄稿、題して「吉田一穂の思い出」。一穂を「北海道で私の敬愛するただ一人の先輩」として、大谷短大で学科増設の際に文部省(当時)に提出するスタッフ名簿に名を借りたとある。大谷短大での一穂の集中講義は当時語り草になったが、事情が分かった。でもうひとつ、やはりその折吉田秀和を非常勤に呼んだのだが、一穂に口を聞いてもらったとある。そして、吉田秀和が一時小樽に住み、中学で伊藤整に英語を習ったとある。さらにウィキペディアで調べると、多喜二が吉田秀和の家を訪れ彼の母親と弦楽アンサンブルをやったとある。吉田一穂と伊藤整の不仲は有名であるが、この人物交差はやはり面白い。