ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

夏・秋のフランス語句会

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俳句というと季語を立てなければなりません。俳諧となると「諧謔」の語にも見られるように自由度が大きくなります。かつて土屋文明がパリを訪れハイカイスト達と交流を持った際、通訳にあたった松尾邦之助との間で季語をめぐって論争が起きました。邦之助は概略、フランス人に理解できない「季語」を後生大事にしていては、日本の短詩形の精神は世界に通じなくなるから引っ込めようと主張しました。会員のMotti から次のような提案がありましたので、多少ジジ臭いかとは思いますが、本会の会(諧)是として採用してはいかがと提案する次第です。

俳諧自由・徘徊自由

Ji-Ji Haïkaï(爺俳諧・爺徘徊・時事俳諧

俳諧」とは、もともと「滑稽・可笑し味・戯れ」を意味し、連句・発句・俳文などの俳諧味を持つ詩文の総称である。正岡子規は発句を「俳句」と名付け、有季定型を原則としながらも、或る句はシリアスに、或る句は俳諧味を持たせ、自由闊達・融通無碍に詠った。然るに昨今は、「時事」や「孫」をお題にしただけで馬鹿にし、新たな語彙・表現を活用すると「誰それの二番煎じ」と嘲罵するなど、視野狭窄・強直固縮に陥っている。あらゆる民族で詩を詠う文化があり、近年では最も短い詩として俳句が注目され、Haiku(Haïku)・ハイクとして盛んになって来ている。古典落語でも枕に旬の話題を盛り込むのが通例である。囲碁・将棋にもAI(人工知能)が取り入れられている御時世であるからには、アンテナを広げ旬(時事)の話題を受け止め、徘徊しながらも、脳トレのため俳句・川柳・短歌などの短詩に詠み込み楽しむ、これら一連のことを「Ji-Ji Haïkaï」と名付けたい。

 

では10月2日の投稿句から選抜して、あいうえお順に(だいたいです)紹介していきましょう。

1)雨ながら中秋祝う" ペーパームーン "

 Malgré la pluie, / on fête le mi-automne / avec  l’air de Paper Moon.

2)烏賊飯は非常食なり野分だつ

Une tempête d’automne / Des calmars farcis de riz,  / vivres de réserve.

3)空蝉や運転免許返納す

Une coquille de cigale-J’ai rendu mon permis de conduire.

4)運動会小さなマスク行進す

La fête sportive / Tous les écoliers marchent / Avec un petit masque.

(La fête sportive de l’école, / les petits masques marchent.)

5)霧晴れて遠きビル群レゴのごと

La brume s'est dissipée / Une rangée d'immeubles lointaine / paraît une ville de "LEGO ".

6)コスモスと目礼交わす今朝もまた

Ce matin aussi, / j’échange un salut de regard / avec des cosmos.

7)秋刀魚焼く 失恋話の 佳境かな

Quelqu’un grille des sammas, / on est à l’apogée des hisotoires / d’amour déçu.

8)倍返し歌舞伎役者の顔相撲

Rendez-y double ! / Voilà le sumô de face à face des deux vedettes / au théâtre de Kabuki.

9)薔薇色の人生今や枯葉色

La vie était en rose. / Elle est maintenant / en feuilles mortes.

10)ホットウイスキー天使の分け前とるべからず

Un whisky chaud. / Il ne faut pas voler / la part d’ange.

11)ボールトス色なき風に乱れけり

Une balle passée, / le vent d’automne l’a troublée / invisiblement.

12)毬栗や犬の歩けぬ散歩道       

Beaucoup de bogues / empêchent les chiens / de se promener.