ブログ トドの昼寝

札幌爺のたわごと

なぜだか朝鮮半島、、、五木寛之『深夜美術館』

 藤女子大の図書館で久ぶりに手にった講談社五木寛之小説全集もようやく28巻まできた。やはり読むペースは年相応とみえる。で、第28巻収録作品の初出情報を見ていて最後の『深夜美術館』だけが昭和50年の小説現代7~9月号で、それ以前は昭和47年の春までになっている。一回目の断筆だろう。で再開第一作が『深夜美術館』、舞台は日本だが内容は日本植民地支配下朝鮮半島での美術品収奪だ。読んでいるうちに日本の骨董商売につきまとう底知れぬ闇が浮かび上がってくる、フィクションだという断り書きがなんとなく白々しい。そして思い出したのが、大学に勤めていたころ仕事で訪れた韓国で案内された古墳のあまりにスッキリした「なにもなさ」だ。案内していただいた専門家と通訳のお二人が、われわれの「じつにあっさりした埋葬ですね」という感想に、妙にこわばった笑いで応じられた。半島の歴史の暗部を知らない者にとって実に失礼なことを言っていたのだな、と今更ながら思うのだ。

 冷え込んだ日韓関係だが、日韓請求権交渉で妥結済みだとする日本政府の物言いの居丈高なことに違和感を覚える。幼いころから身近に見てきた被差別部落朝鮮人部落。極めつけは「仁義なき戦い」で登場する、元安川の基町の川べりにせり出すようにしてあった、被爆者も含めた部落だ。差別がいろいろなところに、無意識の領域も含め、内在化されていることに気が付き始めたのはいつ頃だったろうか。